« ジン「TOUR '08 『クオリアリティ』」FINAL@LIQUIDROOM ebisu 2008年6月23日(月) | メイン | ニッポニア・ニッポン! »

2008年06月29日

Re: ドーナッツのリング vol.4 「Moon in June」

ウィリアム・S・バロウズ。SF作家。
主著書:『ジャンキー』 Junkie, 1953、『裸のランチ』 The Naked Lunch, 1959、『ソフト・マシーン』 The Soft Machine, 1961、『爆発した切符』 The Ticket that Exploded, 1962、『麻薬書簡』 The Yage Letters, 1963、『ノヴァ急報』 Nova Express, 1964、『ダッチ・シュルツ 最期のことば』 The Last Words of Dutch Schultz, 1970、『ワイルド・ボーイズ』 The Wild Boys A Book of Dead, 1971、『おぼえていないときもある』 Exterminator!, 1973、『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』 Cities of the Red Night, 1981、『おかま』 Queer, 1985、『バロウズという名の男』 The Adding Machine: Collected Essays, 1985、『内なるネコ』 The Cat Inside., 1986、等。

以上、Wikipedia「ウィリアム・S・バロウズ」より一部引用。

私の好きなミュージシャンと言って思い出していただけるのは?まず、奥田民生、GO!GO!7188、チャットモンチー、POLYSICS、BUGY CRAXONE、Bleach等があがってくることと思われます。中にはKING CRIMSONを思い浮かべる方もいらっしゃいますでしょうか?(笑)

さて、Tears For Fearsというイギリスのニュー・ウェーブのバンドがあります。2nd.アルバム「Songs From The Big Chair(邦題「シャウト」)」収録の「Shout」がメガヒットし、私も彼らの曲に夢中になっておりました高校生当時、お金が貯まったら渋谷の輸入盤屋に脚を運んで12インチシングルを買い漁っておりましたねぇ。なんか、20年も前のこと?年とるわけです(TωT)…そんな話は置いといて(爆)、アルバムの裏側にクレジットが記載されておりますが、曲名やメンバー、スタッフの他に、こんな文面がありました。

「Dedicate to Robert Wyatt」

これが、私と彼の出会いの始まりなのでございました。元ソフト・マシーン/マッチング・モウルのドラマーにして、半身不随の孤高のボーカリスト「ロバート・ワイアット」。私が一番好きなミュージシャンでございます。彼が在籍しておりましたソフト・マシーンも当然好きなバンドでございます。「シャウト」収録の『I Believe』がシングルカットされる際にB面に収録されましたのが、ワイアットの名曲『Sea Song』のカバーでございました。いつかはオリジナルを聞いてみたいと思い、数年後に同局収録のソロ名義アルバム「Rock Bottom」を輸入盤屋で購入いたしましたのです。まあ、なんと言いますか…不思議な声だと思ったのが最初の印象。いかにも英ロックのヒネクレタところなどは当然ツボだったのですが、哀しげで、しかしとても優しい歌声にいつしか心惹かれていきましたねぇ(^^)当然、どんな人だか知りたくなり、ネットなどない当時にレコードコレクターズやらプログレ名鑑のようなものを読んで得た知識が「ソフト・マシーン」という名前のバンドでございました。

まだ、イエスとクリムゾン、ジェネシスをかじったばかりでパープルをなんとか集めきったあたりの私、好きなバンドはAnthraxとBarbee Boys(どんな組み合わせだよ)。そこで、ワイアットが在籍してたバンドってことで2nd.アルバム「Volume 2」を聞いてみたのでございましたが…これが、まさしく衝撃の音なのでございました。これは…ジャズ?しかし、もの凄いサイケでございますし、とにかくロック。ワイアットが自由奔放に歌ってはおりますが、どちらかと言うと楽器的な扱いでございまして、サックスがメインのメロディーを奏でたり、歪んだオルガンが縦横無尽に駆け巡っていたりと、まさしくなんじゃこりゃっ!?な世界が渦巻いていたのでございます。
とても興味深いバンドなので追っかけてみますとこれまた面白い。「Volume 2」ではジャズ色の強いロック、1st.「The Soft Machine」はジャズ風味のサイケ。この2枚の作風を称して"カンタベリー・ミュージック"と言います。が、ジャンルではなくミュージック・シーン。とくに「Volume 2」はカンタベリーの代表作とまで言われてますが、アルバム全体を覆うひねたユーモラスな雰囲気のことを指しておりまして、明確にこのジャンルと言えるバンドはマシーン含めて1つもございません。3rd.アルバム「Third」以降はシリアスなジャズに傾倒していって、フュージョンから最終的にはイージーリスニングで終わりを迎えるといった変遷。当然、後期はカンタベリーではございません。メンバーも最終的にはオリジナルが1人も居ないと波乱万丈なバンドだったのでございます。解散は私が本格的に音楽を聴きだす数年前の81年。前身バンドが63年結成ですから、まったく関わりが無かったかもしれないわけですねぇ。

と、ここでやっと今回のタイトルであります『Moon in June』でございます。収録されておりますのは「Third」でございまして、このアルバムはアナログの1面に1曲の2枚組み。3曲目に収録されたワイアット名義の作品でございます。この「Third」から急激にシリアスな方向へ向かい、カンタベリーの特徴でございます部分はワイアットのこの作品のみとなってしまっております。最初、なんともユーモラスかつかわいげで明るい曲調で始まりますが、だんだん英ロック特有の影のような部分が見え始め、途中ではさまれますスキャット・パートから演奏に熱が帯び始め、最後は10分近く怒涛のセッションを繰り広げます、マシーンのワイアットとしては最後の名曲でございます(在籍は次作の「Fouth」まで)。アルバムとしては、ワイアットのボーカルがふんだんで単なるサイケでない「Volume 2」が一番好きなのでございますが、マシーン全曲の中でどれが一番?と、聞かれれば、間違いなくこの『Moon in June』でございますねぇ♪

さて、冒頭でなんでバロウズが?と、思ってる方も多いでしょうが、著書の1つに注目!「やわらかい機械」との邦題をつけられてることもあります「ソフト・マシーン(The Soft Machine)」という作品がございまして、まさしくバンド名の由来でございます。当時、バロウズと交流がありましたリーダーのマイク・ラトリッジが著書名の使用を許可されてつけられたのでございますね。

投稿者 r_suezou : 2008年06月29日 16:42 | 音楽の戯言 | Re:ドーナッツのリング

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメント